SD01 / Yoh Arm Chair

用の椅子

日用のダイニングチェア・ワーキングチェアとして、2つの姿勢(1.食事や仕事で背を起こす / 2.食後の団欒や小休憩でもたれる)を叶える機能(シート・バックレスト・アームレスト)を、必要な位置関係で留めるために繋いだ直線でフレームを構成した「Yoh Arm Chair(ヨウ アームチェア)」。

Study:椅子の様式
椅子の歴史を辿り、明式・ウィンザー・シェーカーなどの家具様式は、土着の文化が起源となって形づくられてきたことを知り、SEDIE DESIGN の位置する地域にも、椅子の基となり得る生活様式が存在しないかと考え、村の中を探索しました。

Concept:用
村のゲートボールグラウンドで、朽ちた座面や天板を、適当な厚み・サイズの板で代用した椅子とテーブルを見つけました。 代用した板で日用に事足りる・欠損を補って使い続けることができる、これらの家具をモチーフに「椅子のフレームを機能を固定するための装置」と捉える構想に至り、機能充足と製造・メンテナンス性を両立するために、構造主材に30mmの角柱を選定しました。

 

Function
原寸試作 No.1-5 で検証しながら、長時間使用に必要な機能形状とその位置関係を調整していきました。

Seat
立つ座る・前傾ともたれる、姿勢の切り替えをスムーズにするために座を水平に設置し、さまざまな姿勢にフィットするよう、ウレタンクッションを内包する張地シートのみのラインナップとしました。着座面積を大きく取りながら、腿裏に接する前方と、背もたれの支柱をかわす後方に曲面を設けています。
張地のカラーを選び、「わたしの椅子」の愛着が芽生える、家具づくりに参加する機会も大切にしたいと考えました。

Backrest
最小限の部材で、背を預けたときに快適な面積(角柱4本分:上下幅120mm)・曲面(天面R1000から底面R2000へ徐変)・背座角度(102°)を原寸検証から導き、背の当たりに影響のない上から2本目の角柱を抜き取りました。愛嬌のある背もたれの口は、椅子を引く際の持ち手の機能も備えました。

Armrest
テーブルへの収まり・椅子側面からの出入りと、くつろぐ用途のバランスをとったハーフアーム(奥行250mm)。立つ座る際にアームレスト前方を掴むことを想定して、支柱位置を中間に配置した結果、アームレストをテーブルに掛けて浮かすことができ、椅子・テーブル下を掃除しやすくなりました。

 

日用の椅子としての機能を、過不足なく直線で繋いでとった道具としての形が、「用」の文字とも似通っていることから「Yoh」と名付けました。

 

2025.07.01

Design:
Sumimoto Yusuke / SEDIE DESIGN

Manufacturing:
OKAMOTO KAGU